アートテラーとに~が行く!「KING&QUEEN展ー名画で読み解く 英国王室物語ー」。
皆さま、こんにちは。アートテラーのとに~です。
いよいよ芸術の秋到来!コロナの影響により、予定されていいくつかの展覧会のが中止や延期になり、例年と比べると、少し寂しい今年の芸術の秋ですね。しかし、開催中の多くの大型展覧会が日時指定制を導入しているため、例年のように、押し合いへし合いになることなく、ゆったり鑑賞することができそうです。今年は、特別な芸術の秋になりそうですね。
さて、本日はこの秋大注目の展覧会、上野の森美術館の“KING&QUEEN展─名画で読み解く 英国王室物語─”にやってきました。
こちらは、世界的にも珍しい肖像専門の美術館ロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリーのコレクションの中から、イギリス歴代のKINGとQUEENたちの肖像画や肖像写真を紹介する展覧会です。展覧会のナビゲーターを務めるのは、『怖い絵』シリーズでお馴染みの作家でドイツ文学者の中野京子さん。上野の森美術館と中野さんは以前に、連日2、3時間待ちの行列が発生し、話題となった“怖い絵展”でタッグを組んでいます。そんなゴールデンコンビが約3年ぶりに復活。これは面白くないわけがありません!
出展作品は、約90点。そのほとんどが日本初来日です。15世紀のテューダー朝から、現在のウィンザー朝まで、イギリス5王朝の王室の肖像画や肖像写真が、年代順に並べられています。もともとは王の威厳を表すために描かれた肖像画。それゆえ展覧会の冒頭から中盤にかけては、大きなサイズで額縁も立派な仰々しい肖像画が多数立ち並んでいます。
作品を鑑賞する際は、彼ら彼女らの服装にもご注目くださいませ。権威をこれでもかとアピールするべく、そのファッションには贅の限りが尽くされています。例えば、当時最強の海洋国家であったスペインの無敵艦隊を撃退した“ヴァージン・クイーン”ことエリザベス1世。
《エリザベス1世(アルマダの肖像画)》 Queen Elizabeth I ('The Armada Portrait') by Unidentified artist (c.1588) ©National Portrait Gallery, London
その首元には、真珠のネックレスが下げられています。しかも、8連で。さらに、ドレス全体にも無数の真珠。髪にも無数の真珠が飾られています。当然この時代には、人工真珠は存在していないので、すべて天然ものです。他にもルビーやサファイアらしき宝石の姿も。女王でなければ身に纏うことができないファッション、女王でなければ着こなせないファッションといえましょう。
さてさて、時代が進むに連れ、肖像画の権威性は薄れていきます。また、写真が発明されると、肖像画から肖像写真へとシフトしていきます。宝石をジャラジャラ身に付けていたファッションも、徐々にシンプルで親しみやすいものへ。
イギリス王室のパブリックイメージの変遷だけでなくファッションの変遷、メディアの変遷といったものを知ることができる展覧会となっています。
と、500年の歴史を辿るのも楽しみ方の一つですが、この展覧会にはさらなる楽しみ方があります。それは、肖像画に秘められたストーリーを“読み解く”というもの。作品のサイドには必ず、描かれた人物についての解説が用意されています。さらに、特に重要な人物に関しては、今展のナビゲーターである中野京子さんによるスペシャル解説も用意されています。それらの解説を読むことで、彼ら彼女らがグッと身近な存在に。どんな人生を歩んだのか。どんな性格だったのか。そういった人物像を知った上で観れば、作品の魅力は何倍にも何十倍にも膨れ上がります。
例えば、ヘンリー8世の肖像画。日本ではあまり馴染みのない人物ですね。
《ヘンリー8世》 King Henry VIII by Unidentified artist, after Hans Holbein the Younger, Probably 17th century(1536) ©National Portrait Gallery, London
何も知らないで見れば、ただのテンション低めのオジサマにしか見えないでしょう。そんなヘンリー8世ですが、あるヴェネツィアの外交官は、「今まで見てきた中で最もハンサムな君主だ」と称しているそうです(肖像画を見る限り、そこまでイケメンな感じはしませんが・・・)。実際、かなりのプレイボーイだったそうで、生涯に6回も結婚をしています。結婚するも飽きると、すぐに浮気。そして、離婚するというのが、彼のパターンだったそう。離婚で済めばまだいいほうで、妻だった女性を処刑することもありました。それも2回も。そういったことを知った上で、改めて作品を観てみると、ヘンリー8世の内側にある静かな狂気のようなものが見えてきませんか?
また例えば、アン女王。エリザベス1世以降初の女王です。
《アン女王》 Queen Anne by Sir Godfrey Kneller, Bt (ca. 1690) ©National Portrait Gallery, London
この頃は、こんなにもスリムなスタイルですが、ストレスから暴食するようになり、戴冠式の際は肥満と痛風のため歩くことができず、輿に乗って行進したのだとか。また、アルコールにも走り、後年は『ブランディおばあちゃん』というあだ名が付いていたとのこと。誰もが一度は羨む王室の生活。しかし、そのストレスはハンパないのですね。やっぱり普通の生活が一番。そんなことをアン女王は教えてくれます。
さてさて、王族にはなれないし、なりたくもないですが、展覧会を観たからには、少しくらいはロイヤルな気分を味わいたいところです。というわけで、展覧会の最後の楽しみ、ミュージアムショップで、ロイヤルなグッズを物色。テーブルウェアやビニール傘など、さまざまなアイテムが取り揃えられていました。
それらの中には、ロンドン発の人気アクセサリーブランド「designsix LONDON」が肖像画にインスパイアされて制作したオリジナルアクセサリーも。
《エリザベス1世》の肖像画に描かれたレースの襟やネックレスをモチーフにした『QUEENレースネックレス』の他に、『QUEENペンダント』や『QUEENイヤリング』も展開されていました。あっ、そういえば、女性の友人がそろそろ誕生日でしたっけ。こちらの淡水パールを使用した『QUEEN6連リング』はプレゼントに最適かも。
3800円(+税)とお手頃ですし。6連なので、バラバラに使用するのも可能とのこと。ん?ということは、6人に1個ずつプレゼントするという手も・・・って、6人の女性と関係を深めてどうする?!ヘンリー8世みたいになるところでした。
ドイツ文学者中野京子先生と記念にパチリ
展覧会基本情報
「ロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリー所蔵 KING&QUEEN展 ―名画で読み解く 英国王室物語―」
公式サイト : https://www.kingandqueen.jp/
会場 : 上野の森美術館(東京都台東区上野公園1-2)
会期 : 2020年10月10日(土)〜2021年1月11日(月・祝)※会期中無休
開館時間 : 10:00~17:00 金曜日は10:00~20:00※最終入館は閉館の30分前まで
※日時指定制。(会場での当日販売あり) 詳細は公式HPをご確認ください
主催 : ロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリー、フジテレビジョン、東京新聞、上野の森美術館
協力 : ルフトハンザ カーゴ AG、ヤマトグローバルロジスティクスジャパン
後援 : ブリティッシュ・カウンシル
日本側監修 : 熊澤弘(東京藝術大学大学美術館准教授)
※掲載のグッズは売り切れとなる場合がございます。ご了承ください。
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